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オリックス水谷打撃投手、還暦の「引退」

- 秋季高知キャンプ打ち上げ後ナインから胴上げされ、涙ぐむオリックス水谷打撃投手
オリックスの水谷宏打撃投手(60)が秋季高知キャンプ打ち上げの20日、“現役引退”を表明した。打撃投手としては球界最年長で「近鉄いてまえ打線」の生みの親。その道一筋28年でチームを陰から支えてきたが、還暦を区切りに第一線を退く決意を固めた。清原らが「一日も長く現役を続けて欲しい」と慕っていた「みずさん」は、この日の練習で最終登板後にナインが胴上げ。名物打撃投手は涙、涙で別れを告げた。
「みずさん」の目からいっぱい涙がこぼれた。オリックスナインも泣いていた。「この歳まで使っていただいて、本当にありがとうございました…」。声を絞り出して頭を下げると、みんなに担がれて3度、高知の青空に舞った。
水谷宏さん、60歳。その道28年の球界最年長打撃投手が、秋季キャンプ打ち上げのこの日“現役引退”を表明した。「今年いっぱいで最後と思っておりました」。まだやれる、の声が飛ぶ中で、還暦を区切りに身を引く決意を固めていた。
水谷さんは1968年(昭43)にドラフト1位で近鉄に入団。4年目に横手投げに転向した。そして78年の現役引退後、西本監督から「手伝ってくれ」と要請されたのが打撃投手だった。当時のパのエース級は阪急山田や足立、日本ハム高橋直らが全盛。猛牛軍団のアンダースロー対策として、貴重な役割を果たした。そして梨田、佐々木、大石、中村ら「いてまえ打線」を陰からサポート。4回のリーグ優勝に貢献した。
「嬉しいのは投げた選手が試合で結果を出して報告してくれること。優勝できたのが1番の思い出です」
1日150球で、年間約約4万球。「気持ちよく打ってもらうために」28年間で112万球ものボールを投げ込んできた。もちろん長寿の秘訣は「節制」だ。酒は好きだができるだけ控え、タバコは吸わない。食事では必ず野菜でビタミンを取る。「いかに筋肉の退化を遅らすか」と自宅でテレビを見ながら鉄アレイを握ったり、近所を走ったりして衰えと戦ってきた。素顔は3人の孫もいる好々爺。すべてはチームの優勝のために、と汗水を流すことは惜しまなかった。
そんな「みずさん」が還暦を迎えた今年4月には、みんながお金を出し合ってゴルフウエアを贈った。清原も「ずっと長いことやってて欲しい」というほど、ナインから父のように慕われる存在だった。最終登板となったこの日も、前田、鈴木、横山、長田を相手に目いっぱいの150球。みんな泣いていた。
「同期生はみんな有名選手になって監督やコーチになったけど、私はプロ5勝どまり。でも本当に幸せな野球人生でした。これからはファンとしてチームの優勝を願って見守ります」
ドラフト同期には星野、田淵、山本、福本、有藤らがいた。だがスポットライトを浴びることはなくても「みずさん」が球史に残した足跡は光り輝いている。名物打撃投手の生き様は、しっかりと記憶に刻まれた。【松井清員】
[2006年11月21日9時52分 紙面から]
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