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暴投失点!阪神藤川「ゼロ行進」止まった

9回表2死二、三塁、藤川は暴投で1点を失い、連続無失点記録が途絶える(撮影・宮崎幸一)
9回表2死二、三塁、藤川は暴投で1点を失い、連続無失点記録が途絶える(撮影・宮崎幸一)

<阪神4-2広島>◇12日◇甲子園

 球児のゼロ行進が止まった。阪神の守護神・藤川球児投手(25)は12日広島戦(甲子園)の9回に失点。4月15日広島戦(甲子園)から続けてきたシーズン連続無失点が38試合、47回2/3でストップした。2死二、三塁からバックネットを直撃する大暴投。それでも1失点でしのぎ、登板6試合連続となる8セーブ目を挙げた。チームは今季最多の貯金13とし、前半戦ラストの9連戦に連勝スタート。記録は止まっても球児の価値には何のかげりもない。

 「あっ!」。その瞬間、全力で本塁に駆け出したが間に合わなかった。阪神藤川を、4万2866人のため息が包んだ。9回表2死二、三塁。カウント2-0から広島森笠に投じた直球が高めに大きく外れた。飛び上がった野口のミットを越えて、150キロがバックネットに突き刺さる。ファウルグラウンドの広い甲子園…。藤川の連続無失点記録が壮絶な形で止まった。

 ベンチからは、一番最初に引き揚げてきた。唇をかみ、早足で選手ロッカーに続く階段を駆け上がった。まるで敗戦投手のように悔しさを押し殺した。

 「終了! ちょっと反省したけど…。でもエエんちゃう…。チームが勝ってよかった? そうそう」

 前日11日に球団記録の47回を更新。金田正一の日本記録(64回1/3)を見すえていただけに、気持ちの落差は大きい。それでも38試合、47回2/3を連続無失点の偉業は色あせない。イニングでは歴史上に、その名が刻まれた。体調管理の難しいリリーフでの3カ月無失点は見事のひと言に尽きる。

 もともと失敗を糧にして、はい上がってきた男だ。打たれた夜は必ず自分の姿と向き合ってきた。西宮市内の自宅に戻ると、2人の子供を起こさないようにVTRを見つめる。「すぐに反省するのが一番」。本当は見たくない。でも前を向かないと成長できないことを知っている。記録は止まったが、精神力は不屈だ。

 「あれは失点になるよな。(森笠の前の)緒方の時にゲッツーが一番よかったんやけど」。あきらめ切れない岡田監督は、あえて報道陣に問うた。1死一、三塁から2死にこぎつけ、追い込んだ直後のアクシデント。「あれは予測できなかった」と残念がった。

 それでもチームは勝った。今季4度目の挑戦で初めて貯金13に。試合のなかった中日との差を2・5に縮めた。前半戦ラスト9連戦で連勝スタートだ。

 最後の森笠を遊直に仕留めると、藤川はグラブと右手を合わせて「ごめんなさい」のポーズを作った。だが謝ることはない。登板6試合連続となる8セーブ目。防御率は、いまだ0点台(0・34)で、今季53回2/3を投げた中の2失点目に過ぎない。

 「また続けていったら、いいと思うよ」。どこまでも頼りになる守護神に岡田監督は優しい口調で背中を押していた。【浜田司】

[2006年7月13日9時44分 紙面から]

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