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現地ロケで甦る「火垂るの墓」

現地ロケにこだわった日向寺太郎監督(右)。左は川上皓市キャメラマン
現地ロケにこだわった日向寺太郎監督(右)。左は川上皓市キャメラマン

 地元・兵庫県であの名作アニメ映画「火垂るの墓」(88年)が甦る-野坂昭如氏の自伝的小説「火垂るの墓」が初めて実写映画化されることになり、原作の舞台である兵庫県神戸市や加古川市、宝塚市など県下9市で9月いっぱいロケ撮影が行われている。故・黒木和雄監督の遺志を引き継いだ愛弟子・日向寺太郎監督(41)が現地ロケにこだわり、県も「ひょうごロケ支援Net」が全面支援、かつてない“ご当地映画”になりそうだ。公開は来年夏の予定。

 「火垂るの墓」は太平洋戦争末期、両親を亡くした兄妹が、頼りの親戚からも見放され、空腹を抱えてさまよい歩く、兄妹愛が胸を打つ哀切な物語。昨年死去した黒木監督が企画したが果たせず、日向寺監督がバトンを受けた。アニメ版から脚本(西岡琢也)を一新、現代にも通じる新たな「火垂る」を目指した監督がこだわったのが原作の地元・兵庫県でのロケだった。

 「原作に敬意を持っている。神戸や西宮などに行ったが、実際の場所では無理と分かった。でも現地にこだわって少しでも近いところでやりたかった。春からシナリオ・ハンティング、ロケハンも全部行って『ここならやれる』という所があった」と日向寺監督。

 この動きに兵庫県が全面支援。県下各市のフィルムコミッションを統合して昨年8月に立ち上げた「-ロケ支援Net」の協力で9市のロケ場所が決まった。スタッフは西脇市に本拠を置き3日、南あわじ市の吹上浜からクランクイン。その後、姫路市夢前町、加古川市、神戸市などを数日ごとに移動しながら撮影が行われている。

 先ごろロケ撮影した加古川の日本毛織社宅は、大正から昭和初期に建てられた建物で、今もレンガ塀が残り、雰囲気はそのまま戦時中。姫路では地元出身の国会議員、清瀬一郎氏邸でも撮影した。これまで許可されなかった場所での撮影が、新たな「火垂る」の世界を創り出すことになる。

 ◆「火垂るの墓」メモ 原作は昭和43年以来、ロングセラーになっている野坂昭如氏の直木賞受賞作。88年に高畑勲監督でアニメ映画化。今回は「誰がために」(05年)で監督デビューした日向寺太郎監督のメガホンにより実写映画化。主人公の兄妹役はオーディションで選ばれ、兄・清太に吉武怜朗(れお=15)、妹・節子に畠山彩奈(りな=5)。兄妹の母親役に6年ぶり映画出演の松田聖子(45)、未亡人役に松坂慶子(55)のほか、池脇千鶴、原田芳雄、長門裕之ら。

 日向寺監督は「戦争は死者を弔わない。大量に焼かれる母親と、埋められる節子の対比で戦争を描きたい。死を大切にしない現代に通じる映画にしたい」と話している。




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