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藤田まこと(74)/ザ・直撃

B級戦犯として裁かれる岡田資中将(藤田まこと)(C)2007『明日への遺言』製作委員会
B級戦犯として裁かれる岡田資中将(藤田まこと)(C)2007『明日への遺言』製作委員会

「明日への遺言」(1日公開、アスミック・エース)

 藤田まことは1枚の葉書を宝物のように大切にしている。昭和19年8月14日に鹿児島から出された兄・原田真一さんの手紙である。兄はその2カ月後の10月10日、沖縄・久米島沖で戦死。17歳、海軍特別少年兵だった。死亡通知が届いたのは昭和21年。遺骨はない。だから大切な人を奪う戦争を憎む気持ちは誰にも負けない。

 その思いのたけを演技にぶつけた。戦争の責任を一身に引き受けて未来を若者に託す軍人になり切った。入魂の演技とは「明日への遺言」の岡田資(たすく)中将=藤田のことを指すのだろう。画面で藤田と岡田中将が同一人に見えた。

 「依頼されて2~3カ月、私がやっていいものか悩んだ。大岡昇平さんの原作、脚本読んで、資料も読みあさった。ご子息にもお会いした。今までいろんな役演じたけど、こんな人がいただろう、というものばかり。これは実在の人物ですからね」。小泉堯史監督はそんな藤田を「仕事しやすい環境を作ります」と待ち続けた。そのかいはあった。

 太平洋戦争末期、捕虜の米軍搭乗員を斬首処刑した罪を問われた東海軍司令官・岡田中将の裁判記録である。8割以上が法廷シーン。敗戦で日本中が自信喪失していた時代、き然として無差別爆撃の違法性を主張する中将に、本当の日本人、責任の取り方を込めた。

 「3台のカメラでどこから撮ってるか分からない。うまくいくかどうか考えてられない。撮影所に行くというより、毎日裁判所に行ってるようだった。最後、13階段上がるシーンでは肉体だけが歩いてるようでした」。「てなもんや三度笠」、「必殺」シリーズ、「はぐれ刑事」、最近では「剣客商売」…当たり役にはこと欠かないが、これが役者・藤田まことの集大成であることは間違いない。【安永五郎】




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