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ヤンキース井川、中学生に初痛打

井川は地元茨城の野球教室で母校大洗南中学の川上くんと対戦し中前打を打たれる(撮影・鹿野芳博)
井川は地元茨城の野球教室で母校大洗南中学の川上くんと対戦し中前打を打たれる(撮影・鹿野芳博)

 大リーガー、中学生の前に沈む!? ヤンキース井川慶投手(27)が14日、メジャーリーガーとして初の“実戦マウンド”に上がった。故郷の茨城県東茨城郡・大洗町で少年野球教室を開催。軟式ボールを握っての実演に「抑える気満々」の本気モードで臨んだ。だが最後の中学2年生の打者にキレイな中前打を浴びた。これには本人も「ショック」と苦笑い。夜には地元町民800人が集って壮行会も開かれ、ヤンキース主力にお近づきになるための「手土産」を用意された。

 井川が天を仰いだ。メジャーリーガーとして初めてヒットを許した相手は何と超無名の14歳。普段、強気な男が珍しく落ち込んで見せた。「抑える気満々だったんですけど、打たれちゃってショックです…」。

 その横で井川の母校・町立大洗南中2年のショート川上翼くんが胸を張る。「メチャメチャ速かったですけど打てて良かったです。夢はメジャーリーガーです」。主役の座を脅かす? ライバル出現に、井川も苦笑いを浮かべるしかなかった。

 自らが野球を始めた大洗野球スポーツ少年団ら小、中学の4チーム、約80選手を招いての野球教室。ラストを締めくくる模範指導で「ヤンキース井川」として初の実戦マウンドに上がった。

 最初の打者は剛速球で見逃し三振。どうも硬球と軟式ボールの違いに戸惑い、力加減がうまく調整できない様子。関係者が「130キロ出てた」というほどのスピードボールを披露。少年はバットを振る気配すら見せれず、すごすごとベンチに引き揚げた。

 これでは大人として、ましてやメジャー・リーガーとしていかん…。そう思ったのか、2人目からスピードは緩めた。代わりに変化球を交えた。少年野球で一般的なカーブだけでなく、宝刀チェンジアップを交えるサービスまで。打者5人に対し4奪三振、ボテボテのファーストゴロ1個と貫録を示した。

 だが最後の6人目、川上くんの打席で落とし穴が待っていた。チェンジアップ、カーブに食らいつかれた後の8球目。投じたストレートは、キレイに足元にはじき返されるセンター前ヒット。「キャーッ」。詰め掛けた父兄も、まさかの展開に悲鳴をあげた。

 「初実戦の感想? えっ、マジメに答えるんですか? 軟式ボールは小さいので変化球は投げづらいなと…、まあ、いい勉強になりました」

 日米のボールの違いも克服課題に挙げている男は冗談交じりで笑った。落胆に見せた顔は、もちろん調整が順調な裏返し。昨年11月の日米野球後はキャッチボール程度。この日が年明けボールを使い始めて3日目だったが、迷いなく腕を振った。

 初実戦を知った井川の個人トレーナー添田隆也氏(45)も驚いた。「えっ。本当に投げたんですか。でも、いきなり投げられるのは、バランスよくトレーニングできている証拠でしょう」。この日はオフの予定だったが本人の希望で野球教室後、急きょ練習。夜の壮行会開始が遅れるほどトレーニングに没頭した。今週中にも遠投を開始。2月初旬の渡米までにブルペン投球を重ねる。オープン戦でのアピールへ向け、早め早めの調整が進む。

 「野球ってやっぱり楽しいなと思いました」。地元の少年と触れ合った井川も最後は笑顔満開。中学生に打たれた分? オープン戦では屈強なメジャーの打者を抑え込むはずだ。【片山善弘】

[2007年1月15日10時39分 紙面から]

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