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虎党万歳!新井から日本10点/アジア予選

星野監督(右)とハイタッチする新井(撮影・田崎高広)
星野監督(右)とハイタッチする新井(撮影・田崎高広)

<北京五輪アジア予選:日本10-0フィリピン>(規定により7回コールド)◇1日◇1日目◇台湾・台中

 阪神はええ男を獲りましたな。さすが4番新井や。日本代表がフィリピンに10-0と7回コールドで快勝し、白星発進した。打線に火を点けたのは、阪神入りが内定している新井。初回にセンターオーバーの先制三塁打を放ち、一挙5点の口火となった。2日は北京五輪出場へ最大のライバルとなる韓国戦。星野ジャパンが大一番を迎える。

 主砲の豪打と激走がスイッチオンの合図だった。初回2死三塁。4番新井が外角高めの直球を鮮やかに振りぬいた。大きな放物線を描き、センター右のフェンスを直撃。ホームラン性の打球にも全力疾走を忘れず、三塁を陥れた。

 新井「どこが相手でも先制点は大切なのでよかった」。

 これを契機に打線は一気に爆発。阿部、川崎らの適時打で一挙5点を奪い試合を決めた。星野監督は「いいセンターオーバーだったね。打ってくれ、というところで打ってくれた」と頼もしい4番に目を細めた。

 初戦を迎えるまでの過程はとても順調とは呼べなかった。「僕はいったいどうなるんだろう。やること考えることが多すぎて…」。公式戦終了後、計り知れない重圧と戦う2カ月を過ごした。初めて任された日本代表の4番と自身のFA問題が重なった。食事中もふとはしが止まり、就寝中も夢でうなされて起きる日々。運転中ボーッとして事故を起こしそうになったり、強い睡眠薬を飲んで何とか眠りについたこともあった。

 代表チームに参加してから、新井のフリー打撃はある意味で魅力がなかった。来る日も来る日も、センター方向へコンパクトに振った。サク越えは1日に1本程度。底知れないパワーを秘める男にとって、シーズンでは考えられない光景だった。広島時代の監督でもある山本守備走塁コーチも「明らかにおかしい」と心配を隠せなかった。台湾入りしてからは、星野監督から「4番でも調子が悪かったら代える」とキツい一言…。そんな逆境からはい上がることができたのは、リベンジへの強い思いがあったからだ。

 昨年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では代打要員だった。2次リーグ韓国戦では9回、西岡のソロで1-2と追い上げて代打で登場したが、三振でチームも敗戦。その後2度と打席は与えられず、世界一も心から喜ぶことはできなかった。「肩身がせまかった。実力不足。だから悔しさとか、なんでや、という感情はわかなかった」。だがそんな中でも、最後までチームを鼓舞し続けたイチローの姿だけは焼きついていた。

 新井「イチローさんが感情を表に出す姿を見て、僕も気分を高揚させていた。チームが一丸になる大事さ、素晴らしさを教えられました。今回は技術、精神力ともあの時の僕とは全然違う。自信を持って日本を引っ張るという気持ちでいる」。

 イチローにリーダーシップを学んだ4番は大きく成長した。場面に応じ2回の第2打席は四球出塁、4回の第3打席は左前打でチャンスメイク。10-0の7回コールド発進を導いた。

 新井「今日は終わった。とにかく明日。韓国戦はテレビで見たけど、少しでもスキを見せたらヤラれる。後先考えず、集中して気持ちを込めて頑張りたい」。

 2日はいよいよ韓国との大一番。再び脇を締めて、新井は決戦に挑む。

[2007年12月2日9時38分 紙面から]

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