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朝原絶句男泣き、決勝進出ならず/世界陸上

75年ぶりの決勝進出ならず、涙をぬぐう朝原(撮影・浅見桂子)
75年ぶりの決勝進出ならず、涙をぬぐう朝原(撮影・浅見桂子)

<世界陸上:男子100メートル準決勝>◇2日目◇26日◇大阪・長居陸上競技場

 悔しさと感動が入り交じった涙が、朝原の瞳からあふれた。悲願のファイナリストを狙った世界選手権4度目の準決勝は1組で最下位の8着。「残念なのと、やるだけやった達成感がある」。硬い表情で切り出す。言葉が続かない。真っ赤になった顔を伏せ、絶句した。男泣きする35歳日本のエースを、観客席の家族や地元ファンの惜しみない拍手が包んだ。

 準決勝の壁は厚かった。五輪を含めて5度目の挑戦。日本勢として五輪、世界選手権を通じて75年ぶりの決勝進出を期待する地元大阪の大歓声が、競技場にあふれた。スタートは互角。だが、加速がない。すぐ右のパウエルらに序盤で突き放された。「昨日(予選で)全力で走って、準決勝で戦うには力不足だった。甘くはなかった」。前日の2次予選と同じ10秒16を出していれば3着で通過できていたが、余力がなかった。2日間3レースで最悪の10秒36だった。

 「こういう状況でやれたのが一番の幸せ。家族も見てくれていた。みんなにありがとうと言いたい」。2次予選で落選した05年のヘルシンキ大会後に進退を悩んだが、元シンクロ日本代表の史子夫人(35)には何も言われなかったという。「自由にさせてもらっている。でも、心の中では『もっと現役でやってほしい』と思ってたんやないかな」。この日も観客席から、最愛の妻と長女寧々ちゃん(4)長男大河くん(1)が見守っていた。自分の挑戦を、ただ笑顔で見詰めてくれる人がいる。だから朝原は、走り続けることができた。

 「世界選手権は今回が最後」と言ったが、今後の去就については「今は半々。今季を全うしたころには北京(五輪)についても整理がついてるのでは」と揺れる胸の内を明かした。まずはアンカーを務める400メートルリレーに専念する。もう1つの夢である「メダリスト」へ、大好きな家族とファンの前で再び全力疾走する。【太田尚樹】

[2007年8月27日10時10分 紙面から]

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