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野口大会新でV北京当確だ/マラソン

2時間21分37秒の大会新記録でゴールテープを切った野口みずきは、会心のガッツポーズ(撮影・宇治久裕)
2時間21分37秒の大会新記録でゴールテープを切った野口みずきは、会心のガッツポーズ(撮影・宇治久裕)

<東京国際女子マラソン>◇18日◇東京・国立競技場発着 大森海岸交番前折り返しの42・195キロ◇天気晴れ、気温18度、湿度32%、南南東の風1・1メートル(午後0時10分スタート時)

 史上初の五輪連覇が見えた! アテネ五輪金メダリストの野口みずき(29=シスメックス)が、2時間21分37秒の大会新記録で優勝し、来年8月の北京五輪出場を確実にした。足の故障による2年2カ月のブランクを感じさせない2段階のスパートで、29キロすぎにライバルの渋井陽子(三井住友海上)を、36キロすぎには粘るコスゲイ(ケニア)を突き放し、終盤5キロの上り坂を歴代最速ラップで走破した。02年名古屋、03年大阪に続く国内3大女子マラソンを全制覇。北京五輪では女子マラソン史上初の連覇に挑む。渋井は7位に沈んだ。

 北京へと続く急坂の向こうに、2つ目の金メダルが見えた。4キロの間に25メートルを上る坂が始まる36キロ付近。野口の耳に、本能からの「声」が聞こえた。

 「『前に出ろ』と(指示を出す)何かが降りてきた」。大きなストライドがさらに強く地を蹴った。背後のコスゲイの足音は一気に遠のく。03年の高橋が20分以上かかった35~40キロを、大会史上最速の16分56秒で駆け抜けた。両拳を握り締め784日ぶりのゴールへ。2時間21分37秒は8年ぶりの大会新。北京切符はもう手の中だ。右手の指を3本立て、日本人初の国内3大レース制覇もアピール。潤んだ瞳が確かに輝いた。

 野口「アテネ五輪や(日本新を出した)ベルリンの倍ぐらいうれしい。幸せな気持ち。今のままいけたら(五輪連覇も)いけそうな気がする」。

 藤田監督も「折り返しの時点で大会新はあきらめていた」。序盤は向かい風に苦しみ、中間点では99年の大会記録を2分近く下回ったが、折り返して追い風を受けると一変。30キロ手前から最初のスパートで渋井を置き去りにし、最後の難関でまたギアを上げた。

 2年2カ月のブランクが野口を進歩させた。藤田監督は「前より柔らかくバランスのいい走りになった」と語る。故障を機に左足の内転筋などの筋肉を鍛え直し、左へ重心が傾いていた走りを矯正。体の浮き上がりが減った。

 今年1月末、左アキレスけんを痛めて4月のロンドン回避した。昨年9月のベルリンに続く2連続の故障欠場。「もう私、ぼろぼろだ…」と涙にくれていた時、1通の手紙が京都市内の寮に届いた。差出人は、アテネ五輪前に熊本の陸上教室で指導した小6の少女。「野口さん、負けないで」。何げない励ましだが「私にとっては、何よりも欲しい言葉だった」。涙をぬぐい、復活を誓った。

 高橋さえ届かなかった五輪連覇への挑戦権。アテネ五輪後、藤田監督から「プロになるんやったらなればいい」と言われ、首を横に振った。一番好きな「走ること」を犠牲にしたくなかった。北京ではアテネの雪辱を狙うラドクリフら強敵がそろうが「連覇を目指します」と宣言。身長150センチの小柄な体には、無尽蔵の力と夢が詰まっている。【太田尚樹】

[2007年11月19日12時36分 紙面から]

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