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亀田興毅に唯一勝った男にマスコミ殺到

 亀田興毅(19=協栄)が勝てば勝つほど、注目度が上昇する人がいる。北海道・上士幌町役場の産業課に勤務する松下慎治さん(28)である。実はこの人、02年9月21日、札幌市で行われたボクシング全日本社会人選手権のフライ級準決勝で、亀田に生涯唯一の黒星を付けたアマチュアボクサー。亀田の人気上昇とともに、マスコミの取材が殺到。北海道ではちょっとした有名人になっている。

 自分から「亀田に勝った」と吹聴したことはない。それでも人口5430人(6月末現在)の小さな町のだれもが「亀田に勝った男」の名前を知っている。今や「我が町の誇り」といった感じ。5月に発行した町の広報誌では竹中貢町長が「亀田選手をプロアマを通じて唯一破ったすごい男が本町の松下慎治くんなのです」と自慢した。

 おかげで今年に入って松下さんのメディア露出は激増した。地元マスコミから始まり、最近は東京のテレビ局や新聞、雑誌までが、取材に訪れるようになった。その数は軽く10社を超える。「最近は声を掛けられることが増えました」と苦笑いする。取材の際には町の名物の熱気球をさりげなくアピールしている。

 4年前に対戦した当時から亀田には圧倒的な存在感があったという。前日の予選で豪快に倒す亀田の姿を見て震え上がった。「前夜は怖くて眠れませんでした」。試合では打ち合いを避け、アウトボクシングに徹した。結果は小差の判定勝ち。パンチ1発分のわずかな差だった。パンチの効果より数を重視するアマのルールに救われた。

 「パンチが強かった。プロの試合なら勝てなかったでしょう」と、松下さんは当時を振り返る。初めて経験する挫折に、試合後の亀田は終始うつむいていたという。言葉を交わすこともなかった。結局、松下さんも決勝で敗れて準優勝に終わった。現在も引退してはいないが、一昨年4月以来試合から遠ざかっている。

 拳を合わせたからこそ、亀田の強さ、潜在能力の高さを肌で感じた。だから今は大ファンを自称する。「会ったら殴られそうで怖いですが、機会があれば応援に行きたい。いつか熱気球にも乗せてあげたい」と話す。8月2日に亀田の世界戦が決まって以来、取材依頼はさらに増えているという。世界タイトルを獲得したら、「松下人気」はさらに全国規模へと広がりそうな気配だ。【高田文太】

[2006年7月25日13時20分 紙面から]


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