“赤アニキ”新井2発&逆転サヨナラ打
<広島9−8巨人>◇9日◇広島
本塁打キング独走、これが赤アニキの力だ! 巨人とのシーソーゲームは9回に広島4番新井が2死満塁からサヨナラ2点適時打で決めた。同点の6回に23号ソロ、再び追いつかれていた8回にも24号ソロ。それでも逆転された投手陣を助けるべく土壇場9回にサヨナラ打と大暴れ。兄貴分の阪神金本にちなんで“赤アニキ”と呼ばれる新井の2005年はどこまでも熱い。
涙はなかった。興奮が体中を駆け巡っていた。一、二塁間で両手を挙げてベンチ方向を見た瞬間、もうそこにはナインが来ていた。無我夢中で抱き合い、最後は山本監督の胸に飛び込んだ。「自分から無理やり行きました」。1点を追う9回2死満塁。4番新井がこの日4安打目となる右前打で、劇的すぎるサヨナラ勝利を決めた。
「最高です! ストライクが来たら初球から行こうと思ってました」。
試合開始前の大雨にもかかわらず、本拠地には2万2000人を超えるファンがいた。真の“4番襲名”には願ってもない舞台だった。6回にいったん勝ち越しとなる23号ソロ。8回には再び、勝ち越しとなる2打席連発24号ソロ。3たび、4番として打たねばならない9回は、右前打で逆転サヨナラを決めた。
2年前の涙を忘れた時はない。4番の重圧に苦しみ、不振にあえぎ、山本監督と2人きりの監督室で泣いた。「自分が情けないです」。それでも尊敬する元祖ミスター赤ヘルは「自分で乗り越えるしかない」と厳しく優しくアドバイスをくれた。6月、6試合連続本塁打の最中、監督からの言葉は「行けよ〜、行けよ〜」のひと言。必要以上の重圧をかけまいとする心遣いがうれしかった。
もう1人、今も兄貴と慕う阪神金本からも気づかいをもらっていた。7日、広島市内のジムでのトレーニング中に電話があった。「お前に用事はない」。そのひと言がとてつもなくうれしかった。2人の“師匠”が教えてくれた4番の苦しさ、楽しさ、やりがいがほんの少しわかり始めた。
「見事。勝ち越し弾を2本打って、負けていたら本人が一番落胆するところ。最後も決めるとはな…」。指揮官も愛弟子の成長に目を細めた。本塁打は2位につけるその金本に2差をつけて単独キング。打率も2位まで上げた。天井知らずの勢いだ。「今日のことはもう終わり。また明日、練習します」。広島の主砲はそう締めくくった。【伊嶋健一郎】
[2005/7/10/09:55 紙面から]
写真=9回裏2死満塁、サヨナラ打を放った新井はジャンプして大喜び
|