怪物お目覚め!大阪桐蔭辻内19K/高校野球
<全国高校野球選手権:大阪桐蔭8−1藤代>◇8日目◇13日◇甲子園◇2回戦
やはり怪物サウスポーだった。大阪桐蔭のエース辻内崇伸投手(3年)が藤代戦で大会最多タイ記録となる19奪三振を奪った。19奪三振は00年の浦和学院・坂元弥太郎投手(現ヤクルト)が八幡商(滋賀)を相手に奪って以来、5年ぶり史上5人目。大会屈指の左腕は1回戦で最速156キロをマーク。そして怪物伝説第2章はKラッシュ。試合も8−1で大勝。3回戦ではどんな「伝説」を生み出すのか、目が離せなくなってきた。
眠っていた怪物辻内がついに目覚めた。最後の150球目、こん身の149キロ直球。空振りで4者連続三振に仕留めると、めったに感情を表に出さない国内最速左腕が、小躍りしながらマウンドを駆け下りた。
「最後は締めたかったんで三振を狙いました。タイ記録? うれしいです。調子は悪くなかった。最初から飛ばしていきました」。1試合19奪三振は史上5人目となる大会タイ記録だ。1試合18奪三振だった自己記録も更新した。初回から2Kをマークすると、あとは圧巻の奪三振ショーを展開。藤代打線のバットが面白いように空を切った。2度ずつの3者連続、4者連続を含め、全員から三振を奪った。
この日の最速は1回に記録。オリックスのスカウトのスピードガンに表示された154キロだが、甲子園のスコアボードに示されたのは「151」。自身の最速156キロには及ばなかったが、前回8日の春日部共栄戦では見なかったこの表示を見て、気持ちを高めていった。
やや制球が乱れ始めた7回1死満塁のピンチでは、背番号12の辻一旗外野手(3年)が伝令にやってきた。肩に両手を当てて「ラリックス、ラリックス」とやると、マウンド上で笑顔の輪ができた。大阪大会から続けている、恒例の“儀式”。これで肩の力が抜けた辻内は、次打者を落ち着いて投ゴロ併殺打に打ち取った。8回には1点を失い「今日は90点」と振り返ったがそれもご愛嬌。7被安打の完投で、楽々と16強進出だ。
自ら不調を脱した。初戦5回途中降板の乱調で、自分のフォームを失っていた。前日12日には通常の約2倍となる、異例の117球投げ込みを敢行。その様子を見ていた西谷浩一監督(35)はあえて突き放した。「声をかけようかと思ったけど、やめました。自分でどう修正するか、見たかった」。その時ベンチメンバー外の3年生から「もっとタメを作れ」とアドバイスを受けながら、自らの頭で考え、好調時の投球を取り戻した。「自分でこの結果を出したことに、感無量です」と西谷監督。怪物左腕がさらに進化を遂げた瞬間だった。
かつてのチームメートと、元旦に誓いを立てた。辻内が小学校時代に所属した「結崎仲良し会」の仲間が、地元奈良の県民グラウンドに集結。そこで組んだ円陣の中で、辻内が宣言した。「今年は甲子園で活躍して、優勝します」−。このエースの活躍があれば夢物語ではない。【大池和幸】
[2005/8/14/12:00 紙面から]
写真=藤代打線から19三振を奪う力投を見せた大阪桐蔭の左腕辻内崇伸投手
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