イチロー、屈辱の最終打者/WBC
<WBC1次リーグ:韓国3−2日本>◇5日◇最終日◇東京ドーム
日本が韓国にまさかの逆転負けを喫した。アジアNO・1での2次リーグ行きをかけた全勝対決。最少得点差の勝負の中、8回1死一塁で李承■内野手(29=巨人)に、石井弘寿投手(27=ヤクルト)が逆転2ランを浴びた。1次リーグ3戦で3安打に終わったマリナーズのイチロー外野手(32)は、「自分のこの結果に満足しているとしたら、ボクは野球をやめなければならない」と悔しさをあらわにした。日本代表は6日に渡米。12日(日本時間13日)から米アナハイムで始まる2次リーグには、アジア2位の立場で臨む。
打球は力なく上がった。1点を追う9回裏2死、打席にはイチロー。最少得点差で一発が出れば同点。スタンドの、そしてベンチの期待が高まった。だが、カウント1−1からの速球を打ち上げ遊飛に倒れた。この日は3打数1安打2四死球。3試合を通じて13打数3安打と、本来の実力を発揮できなかった。
「自分のこの結果について、もし満足しているとしたらボクは野球を辞めなければならない」。悔しさを独特の言い回しで表現した。
2月21日、日本代表の福岡ドーム合宿がスタートした日、イチローは言った。「向こう30年間、日本には勝てないなと(相手に)思わせるような勝ち方をしたいですね」。この発言が思わぬ波紋を呼んだ。23日付の韓国紙・東亜日報電子版は「韓国の選手がイチローの発言に怒った」と報じ、孫敏漢投手(ロッテ)の「日本戦で勝って、同じセリフをぶつけてやりたい」というコメントを紹介している。あるいはイチロー発言で、韓国選手のモチベーションが高まったのか。結果として舌戦も、韓国の勝利で終わった。
悔しがるばかりではない。イチローは162試合を戦うシーズンとの違いも痛感していた。「1点を取れば少ないと感じ、1点を取られれば重いと感じる。そこが普段の戦いとは違う」。韓国の右翼手の好守備により、一気に流れが変わった。「試合の中でいくつかあるチャンスをモノにできなかった。野球は1つのプレーで流れが変わってしまう」。
ただ、これで終わりではない。「今日の負けをプラスに持っていくか、そうでないか。選手次第だと思っています。負けてクラブハウスに戻ったら、みんなものすごい悔しそうな顔をしていた。この大会にかける気持ちをあらためて感じた。それは心強い」。
6日に米国へ向かう。最後にイチローは、ファンに感謝の言葉を投げかけた。「今日は普段と違うエネルギーが出た。久しぶりに熱くなった。野球をやっているんだと感じられた。ファンの方々に感謝しています」。リベンジは米国で。イチローの爆発なくして、日本の勝利はない。【飯島智則】
※■は火へんに華
[2006/3/6/11:56 紙面から]
写真=9回裏2死、最後の打者イチローは、大喜びする捕手趙寅成の奥で悔しそうな表情をみせた
|