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【WBC】執念の王采配、メキシコ撃破

 WBC日本代表王貞治監督(65)が執念の指揮でメキシコを倒した。アメリカ戦を“疑惑の判定”で落とし、負けられない試合に打線を組み換えて挑んだ。6番に下げたチーム本塁打王の多村に2度も犠打を命じ、4回に小笠原の先制2点打、里崎2ランで一挙4点のビッグイニングを呼び込んだ。先制点にこだわる王采配、執念の指揮で勝利をもぎ取った。さあ韓国戦。1次アジアラウンドで逆転負けを喫した宿敵を撃破すれば、王ジャパンが世界4強、頂点へと突き進む。

 ◆執念 世界一へ。王監督の執念が呼んだ4回だった。松中の左前打と岩村の四球でこの試合、みたび無死一、二塁。2度は先制機を逸している。ここで逃せば流れを手放しかねない。だが2回に犠打を失敗していた多村が再挑戦で成功させた。

 「多村も2度、バントをすることはなかっただろう。ここまできたらそういうこともある、と言ってある」(王監督)。ここまでチーム最多の2本塁打を放つ6番多村に送りバントを命じた2回だったが結果は捕ゴロ併殺。だが再び要求。多村もこれに応えた。

 ◆奮起 これで1死二、三塁。ここでチームではスターでも代表では“脇役”が燃えた。小笠原、里崎の7、8番コンビだ。ガッツこと小笠原が初球の外角変化球を体勢を崩しながら右前に運んだ。

 「何でもいいからバットに当てていこうと思った。無我夢中でどう打ったか形は分からない」

 13日にアナハイム近郊の焼き肉店に野手が集合。メキシコ戦の必勝を誓い合った。「最初からテンションを上げて、気持ちをひとつにしてやろうということだった」。率先して「約束」を守った。

 続く里崎は思い切りよく振りぬく。カウント1−3からロアイザの高めスライダーを右中間席へ。「ガッツさん(小笠原)が打ってくれて気楽に打てた。完ぺきでした」。この2ランだけでなく、この日3安打。守っては好リードで1失点リレーを導いた殊勲者は言った。

 ◆敵はロアイザ 前夜、王監督は悩んだ。「メキシコの投手はレベルが高い。やはり、接戦になるだろう、と。100%先取点を取らなきゃと思っていた」。先発は大リーグで03年に21勝、ア・リーグ奪三振王に輝いたロアイザ。どう攻略するか。

 コーチ陣と日本食店で食事会を開いた。当初は米国−韓国戦を観戦する予定だったがキャンセル。ラーメン、冷ややっこなどを胃袋に収め、意見を交わした。「私の知っている彼らの本来の力は出ていない。力が出ていない選手をどのような形で得点に結び付けるか。コーチ陣とも話して、頭を痛めた。ロアイザと対するには今日の打線が1番いいんじゃないか、と」。

 イチローから5番まで左打者を並べた。米国戦の3番多村を6番に下げ、3番に福留を戻し、5番には岩村を上げた。悩んだ末に打った手が「吉」と出た。

 ◆迷いなし 客観的には追い詰められていた。「疑惑の判定」で米国に惜敗。メキシコに敗れれば2次リーグ敗退が決まる。しかし王監督には迷いはなかった。「先ほどから一昨日のことを聞かれるが、われわれは切っている。そんなことにはこだわっていない」。試合後の記者会見。米国戦に関する質問を切り捨てた。

 さあ韓国戦。15日に勝てば2勝1敗で並び、失点率で上回れば、16日のメキシコ−米国戦の結果を待たずにベスト4入りが決まる。「前に進むか、おしまいか、どっちかだから。思い切ってやるだけ」。アジア頂上決戦を制して、王ジャパンが世界4強へ羽ばたく。

[2006/3/16/09:37 紙面から]



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