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「子ぎつねヘレン」 (18日公開、松竹)
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| 写真=重度の障害を抱え母親とはぐれたキタキツネを育てる少年の物語「子ぎつねヘレン」
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動物と子供の映画は美しい感動物語が多いが、少々他愛なさすぎて、大人が見るにはつらいものがあるのも事実である。たとえばペンギンの卵を孵(かえ)して育て、南極まで戻してやる、といった嘘っぽい話などには辟易した。
アメリカ映画「子鹿物語」(47年)は動物映画の名作とされる。農家の少年が森で子鹿をみつけ、親身になって育てるが、鹿が成長して農作物を荒らすようになると「邪魔になるから」と親が説得して射殺してしまう。少年は弱肉強食の自然界の掟を学ぶわけだが、人間のごう慢さを感じさせたものだ。
「子ぎつねヘレン」(河野圭太監督)は並の動物=少年ものではない。主役はかわいらしいキタキツネの子供だが、目も見えず、耳も聞こえず、吠えることもできない“重度身障者”である。母親とはぐれ、道路脇にいるところを少年(深澤嵐)に拾われ、森の動物診療所の獣医(大沢たかお)のもとに連れていかれる。三重苦のヘレン・ケラーにちなんでヘレン(メス)と名付けられる。
だが、ヘレンは食べることもミルクを飲むことも出来ない。近づく者にも噛み付く始末で、日に日に弱っていく。獣医は「障害を持つ動物には安楽死しかない」と考えておりヘレンにも処置しようとするが、少年から「あなたそれでもお医者さんですか。自分でミルクを飲めないからって、生きてちゃダメなんですか」と抗議され、少年と獣医は格闘するようにヘレンを育てるのである。
動物映画には珍しく、ハッピーエンドではない。脳に障害を持ったヘレンは、少し人間になれただけで、あっけなく死んでしまう。彼らの涙ぐましい奮闘も、わずかばかり命を延ばしただけに終わる。だが、その3週間の延命にかけた少年たちの思いが、生きることの意味を考えさせる映画になっている。【安永五郎】
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