沈着冷静な初代主将、コート内外で仲間束ねる
<注目選手:石橋晴行キャプテン>
初代キャプテンのプロ初登場は11月6日、大分との開幕2戦目だった。第1クオーター残り32秒、城宝との交代アナウンスが流れた瞬間、会場は大きな拍手に包まれた。出番がなかった開幕戦から24時間。初勝利を渇望するチームに、愛称「バシ」ことPG石橋はベンチから送り出された。
「いつでも行ける準備はしていたし、実際にプロのコートに立てたという感慨があった。守備で少しは勝利に貢献できたかなと思う」
この試合の出場時間は12分。相手シュートヘのブロックなど、存分に役目は果たした。組織で動くエヴェッサの1つのピースが機能すれば、勝利は当然のものだった。
彼の取材を重ねると1つの特長に気付く。適度な笑顔を保ち続け、感情の抑揚は極端に少ない。さわやかで、かつ冷静なのだ。天性の才能かと思ったが、「年輪」がそうさせているのだと、後で分かった。
昨年まで在籍した横浜ギガキャッツ時代、石橋は神奈川県内の運送会社に勤務していた。自動車(トラック)のマフラーを販売する営業担当だった。1日に1人で関東一円の3〜5社を回り、50人ほどの顧客を前に自社製品の説明を行う。客観的な言動でないと、仕事は成り立たなかった。
「当時はマフラーの勉強をしましたねえ。製品の何が優れているか、説明しないと話にならない。仕事自体はしんどいし、おもろなかったですけどね(笑)」。営業成績は抜群で、アルバイト契約だった時給はどんどんアップした。
今年1月、父親を59歳という若さで失う。大阪に1人残した母親と同居するために、運送会社も横浜ギガキャッツも辞めることになる。大阪で新たに就いた仕事は、衣料販売という営業だった。競技活動以前に生きるための苦労、努カを重ねてきた。だから、31歳の石橋がここにいる。
「僕は過去、大産大時代に主将を1度だけ務めた。そのとき、チームをまとめられなくて負け続けた。反省は生かさないと」。卒業後は4チームを渡り歩き、ドラフト3巡目で入団した大阪エヴェッサが5つ目。チーム最年長として、静かな闘志を胸に潜めている。
「たとえベンチにいても声を出せるのが、最大の魅カ」という天日ヘッドコーチからの信頼は厚い。9歳下の城宝は「バシさんのアドバイスは分かりやすい」と敬服する。練習から声でムードを盛り上げる大阪生まれの精神的支柱は、エヴェッサの守護神として屋台骨を支えていく。
写真=コート内外で仲間を束ねる存在の石橋晴行キャプテン=(C)OSAKA EVESSA
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