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“虎の怪童”辻本が鳴尾浜で自主トレ開始

 テッケンもウエルカム! 阪神と仮契約を結んだドラフト8巡目・辻本賢人投手(15=米マタデーハイスクール)が24日、西宮市の鳴尾浜球場で自主トレを開始した。練習に付き添った父・仁史氏(44)は「悪いところがあれば、殴ってください」と球団側に“鉄拳指導”の異例のお願い。自主性重視のメジャー流から上下関係の厳しい日本式への転換も覚悟の上だ。全国の注目を集めるワンダーボーイが早くもプロ生活の一歩を踏み出した。

 辻本が“ベースボール”と決別した。所属チームがないため、鳴尾浜球場で早くも自主トレを開始した。ニット帽に青色の半袖Tシャツという初々しい格好で登場。藤本、浜中ら大先輩に帽子を取って、1人ずつ丁寧にあいさつした。これから始まるプロの世界。「やっぱり雰囲気が違った。『全員にお願いします』と言いたかった」。常に堂々とした15歳の右腕も緊張を隠せなかった。

 カナディアンスクールに通い、中学1年から渡米した辻本は自主性や個性を重視するアメリカンスタイルの環境で育った。しかし協調性や上下関係に厳しい日本式に転換する覚悟はできている。

 同伴した父・仁史氏は選手寮の虎風荘で山本寮長と会談。「悪いところがあれば、殴ってください」と鉄拳指導の異例のお願いをした。まだ高校1年生と同じ世代だが、身分は個人事業主。「もう社会人ですから。『寮に入ったら、帰ってくるな』と言いたい」と仁史氏は突き放すことで最後の親心を見せた。同寮長も「殴りはしないが、誰でも道を外れたら怒る。厳しくやさしく」と熱血生活指導を約束した。

 この日の鳴尾浜初練習では、ランニング、キャッチボールなど精力的に約2時間、体を動かした。当初はボールを使う予定はなかったが「やる気はあった」と181センチの長身から投げ下ろすフォームを披露。日米の使用球の違いにも「一緒だなと感じた」と戸惑いはなかった。

 練習後には寮内を見学。「今までやってきた中で最高の環境。ビックリしました。(米国では)これほどではなかった」と笑顔をこぼした。野球に集中できる環境を求めての今回の帰国。その欲求を十分に満たした。

 岡田監督の提案した年内入寮プランは話し合いの末、実現には至らなかった。「他のルーキーと同じように年明けに入ってもらう」と池之上スカウト。今後は鳴尾浜球場で練習しながら、来年1月の入寮を待つ。「まだ練習についていけないと思う。基本的なことですね」。辻本は地道な体作りを当面のテーマに掲げた。鉄拳指導もウエルカム。環境の変化に順応し、ジャパニーズ・ドリームをつかみ取る。【田口真一郎】

 ◆辻本のキャッチボール相手を務めた阪神中谷が「福原さんみたいだ」と15歳の投球フォームを絶賛した。辻本が小学校高学年のときから交流があり、この日の鳴尾浜初練習で戸惑う辻本に声をかけ、サポートした。「きれいな回転の球を投げる。ヒジから先が柔らかい。力を入れたら、(球が)走りそうですね。福原さんみたいだ」と感想を洩らした。自身もドラフト1位で入団し、周囲の重圧も経験済み。「縁があると思うし、一緒にできればいい」と“相談役”を買って出た。

[2004/11/25/09:29 紙面から]


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