江夏、掛布斬り!虎党沸いた夢のOB交流戦
甲子園に帰ってきた江夏に、大声援が起きた。阪神は19日、甲子園球場でファン感謝デーを開き、4万3000人のファンが詰め掛けた。創立70周年を記念した「夢のOB交流戦」では、カリスマOBの江夏豊氏(57)がタテジマユニホームを着て5年ぶりにマウンドから投球。金本、掛布氏と歴代の4番打者と対戦し、オールドファンから新しいファンまで観客すべてを魅了した。
秋晴れの甲子園が、70年代にタイムスリップした。「ピッチャー江夏」。鳥肌が立つようなアナウンスが流れ、今季のセ・パ交流戦で現役選手が着用した、懐かしいタテジマユニホームに身を包んだ江夏氏が三塁側ベンチを出る。目を細めているのは、まぶしい日差しのせいかそれとも…。柔和な笑顔で向かったマンモスのマウンドは、30年前と少しも変わっていなかった。
「甲子園は格別? それはそうだろう。オレのふるさとだから」
国内5球団を渡り歩いた江夏氏だが、タイガースへの愛着は他と比較できない。66年度のドラフト1位で大阪学院高から入団。9年間で159勝を挙げ、左腕エースとして君臨した。
球団創立70周年の記念イヤーに、2年ぶりのリーグ優勝が重なった。例年になく活気にあふれたファン感謝デーで、主役は歴戦のOBたちだ。エキビジションマッチとして行われた「OB交流戦」。ファンの間で伝説と化している江夏氏の登板は2回裏だった。
両軍ベンチが粋な計らいで盛り上げた。マスクをかぶったのは、現役時代に「黄金のバッテリー」を組んだ田淵幸一氏。打席には、今季MVPの金本が代打でたった。入念に肩をつくった江夏氏は金本を呼び寄せて一言。「1球目から打てよ、と言ったんだ」。要請に応じた金本の初球打ちは左前にクリーンヒット。江夏氏はグラブをたたいて現役の4番打者を称えた。
直後にベンチから吉田義男監督が出て、交代を告げようとした。事前に打者1人と確認していたが、江夏−田淵のバッテリーはこれを拒否。「ブチ(田淵氏)がもう1人行けというから、いく気になった」。頭をかきながら吉田監督が退くと、一塁側ベンチからは掛布雅之氏が現れた。江夏氏はカウント1−2からの1球で遊飛に打ちとり、カリスマ左腕は出番は終えた。わずか5球の凱旋(がいせん)登板も、歴代主砲との対戦に歓声が鳴り止まなかった。
江夏氏の甲子園登板は01年11月4日のマスターズリーグ以来。前年の00年には阪神−巨人戦で始球式を行っている。だがタテジマを着てのゲーム登板は、オフに南海に移籍した75年以来で30年ぶりだった。伝統の節目。世代を凝縮した甲子園の1日に、背番号「28」の存在感はひときわ大きかった。【町田達彦】
[2005/11/20/09:35 紙面から]
写真=ファン感謝デーのOB交流戦で投球する江夏氏
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