片岡代打サヨナラ弾!9回2死劇的2ラン
<オープン戦:阪神5−3広島>◇18日◇高松
ガケっぷち男に起死回生の1発が飛び出した。阪神片岡篤史内野手(36)が広島戦で劇的な代打サヨナラ2ランを放った。オープン戦ここまで14打席ノーヒット。若手の台頭で開幕1軍が危ぶまれていたが、強烈な印象を残す一撃で一気に立場を逆転させた。岡田監督も左の代打の切り札としての起用を明言。開幕1軍に当確ランプがともった。
喜びは隠した。36歳片岡は無表情のままダイヤモンド一周した。「照れくさいがな」。「たまたまやがな」。ベンチ前で祝福を受けても笑顔はなし。勝負強いベテランのオーラをたっぷり醸し出し球場を去った。
オープン戦とはいえ緊迫した場面だった。3対3の9回裏1死一塁。左の代打のライバル林(リン)は三振に倒れ2アウト。ここで代打の切り札として登場した。カウント1−1から広島マルテのストレートを完ぺきにとらえた。打球はバックスクリーンに一直線。劇的なサヨナラ勝ち。久々の大歓声を一身に受けた。
何より自分にとって大きな1発だった。オープン戦ここまで14打席ノーヒット。若い林、喜田が急成長を遂げる中、右ふくらはぎに自打球を当てるなど出遅れ、開幕1軍危機の立場にあった。それでもヒットを打ちたい気持ちを表には出さなかった。
試合前、空を見上げ、何度も雨天中止を望んでみせた。この時点であと7試合。アピールチャンスが減っても大丈夫とのポーズだった。「ノーヒットで開幕? 心配してくれんでええよ。プロで何年やってると思ってるん」。19日、倉敷での広島戦がWBC日本韓国戦の試合時間と重なることを知ると「じゃあオレはテレビに集中やな」とジョークも。打撃は悪くない。1本出れば変わる。プロ15年生らしいマイペースさを強調することで、心の奥底にある焦りを押し殺そうとしていた。
代打の切り札として期待する岡田監督は待望の初ヒットを手放しで喜んだ。「シーズンやったら最高やけど、これでちょっとは楽になるんちゃうか」。試合前、熱心に指導した正田打撃コーチも「よう打ってくれたよ。本人が一番ホッとしてるんやないか」と、決して片岡が言葉に出さない本音を明かした。
高松は因縁の地だ。昨年3月19日、同じ広島戦前、左ふくらはぎに張りを訴え緊急帰阪していた。「貴重な左の代打? 林とそういう(併用の)形になるわな」。岡田監督からは開幕1軍決定ともとれる発言も飛び出した。開幕1軍を逃すことになった場所で、開幕1軍を決めてみせた。
「去年はここでケガしたけどケガなくできているのが1番や。ケガしないことだけを考えてやってるから」。故障以外恐れるものはない。5年契約最終年。シーズンでもここ一番、この日見せたような勝負強いバッティングを披露する。【片山善弘】
[2006/3/19/09:50 紙面から]
写真=9回裏2死一塁、代打片岡は中堅越え2点サヨナラ本塁打を放ち、バンザイするベンチを背にベースを一周
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